ヘンリー・ジョージの名言には、「不正は何人をも真に利せず、正義は何人をも真に害せず。」「浮浪者は百万長者にとっては、なくてはならない付随物である。」などがあります。
今回は、ジョージズムの提唱者としても知られる、ヘンリー・ジョージの名言をご紹介します。
ヘンリー・ジョージの略歴・生涯
ヘンリー・ジョージはアメリカ合衆国の作家、政治家、政治経済学者。私的所有をベースとしながらも、自然とりわけ土地は人類の共有財産との考えに基づき、諸税を廃止し地価税への一本化(土地単税)を図る、ジョージズムの提唱者としても知られる。主著は『進歩と貧困(英語版)』(1879年)。
氏名 | ヘンリー・ジョージ(Henry George) |
職業 | 作家、政治家、政治経済学者 |
国籍 | アメリカ合衆国 |
誕生 | 1839年9月2日 |
死没 | 1897年10月29日 |
享年 | 58歳 |
ヘンリー・ジョージの名言セレクション
不正は何人をも真に利せず、正義は何人をも真に害せず。
至極真っ当なことを言っていますが、現実には不正はなくなりませんし、正義は必ずしも皆を幸せにするわけではないと思います。多くの場合、本当にそれが「真」なのかがわかるのは、ある程度の年数を経てからです。目先の物事や近視眼的な価値観に振り回される人が多い現代では、この言葉はなかなか有効に機能しづらいのかもしれません。
浮浪者は百万長者にとっては、なくてはならない付随物である。
この世は表裏一体です。そのため、百万長者がいるということは、その裏には浮浪者が存在することはある意味で自然の摂理なのかもしれません。もっとも、両者を分ける違いが自由な競争の上で生まれたものであれば何ら問題はないでしょう。しかし、富を持つ者と持たない者が固定化されてしまう社会にすることは避けなければなりません。
富を得る方法は三つしかない。勤労と嘆願と窃盗である。したがって、あまりにも多くの富が乞食や泥棒の手に渡っている。
この言葉には、「労働は罰」と捉える欧米的な価値観が背景にあると思われます。結果、進んで労働に勤しむ人の割合が少なく、嘆願と窃盗によって富を得る人が大勢を占めている、という主張になっているのでしょう。逆に日本においては労働が美徳とされる価値観がいまだに根強いので、いまいちピンとこない言葉かもしれません。労働を美徳とすることには賛否がありますが、結果的にそれが日本の犯罪率の低さに貢献している部分はありそうです。
むこうみずの変革には危険があるが、それよりももっと大きい危険は徹底した保守主義である。
あらゆるものは変化から逃れることはできません。変化を悪とみなす行き過ぎた保守主義は、社会の活力を奪う危険な思想になり得ます。何事もバランス感覚が重要です。
いかなる社会悪にも治療手段があるに違いない。しかし、救治は悪の棄却より大なる治療手段はない。
貧困や犯罪などの社会悪を矯正する方法はあるにはあります。しかし、それが現実の社会を見ていると、それが有効に機能しているようには思えません。理想としては、貧困や犯罪が生まれる前の段階で対処すること。そもそもそれらが生まれる根本を断つような取り組みが必要なのかもしれません。
人民を奴隷化するものは王侯・貴族ではなく、また地主・資本家でもない。人民を奴隷化するものは人民自身の無知である
人は自らの手によって牢獄=自分が作り上げた価値観、あるいは限界に囚われているとも言えるでしょう。もし今の現状に不満があるのなら、それは周りの責任ではない、ということです。